旅行会社からの旅行商品購入は「旅行業約款」に従います。その内容のポイントを知ることは重要です。



旅行商品購入の契約と「旅行業約款」



海外旅行の商品を購入する場合は、旅行者と旅行会社が「契約」を取り交わすことになります。

「契約」というとちょっとかまえてしまいますが、要するに旅行者・旅行会社双方が、「旅行者が購入する旅行商品について、その注文から実施(消費)に至るすべての約束事を決め、お互いに守りましょう」ということを同意するということです。


契約条件の書かれた「旅行業約款」


パッケージ旅行にしても、オーダーメイド旅行にしても、旅行者は旅行が無事終わるまでは代金を支払った旅行会社には責任を持ってもらわねばなりません。

逆に旅行会社にしてみれば、出発が間近になって急に客がキャンセルをして「まだ旅行前だから代金を全額返せ。」などといわれても、困るわけです。

このように、旅行商品の購入や実施(消費)をめぐるさまざまなケースについては、顧客・旅行会社双方の責任や義務、ペナルティなどをあらかじめ双方が合意しておく必要があります。

しかし、いちいち客と旅行会社が話し合って決めるのは面倒なので、旅行会社があらかじめ用意した「旅行業約款」というものを合意書とするようにしています。

旅行会社が作ったものとはいっても、旅行会社側に都合のいいように作ったものではなくて、「旅行業法」に従って、国土交通省の認可を受けたものです。
一般にはどの客に対しても同じ約款を適用し、店では必ず客が見える場所に掲示したり、ホームページで販売する場合にも掲載することになっています。

参考にJTBのホームページに掲載されているものを見てください。

 JTBの旅行業約款 : パッケージ・ツアー(募集型企画旅行といいます)の約款です。

しかし、皆さんはこれをすみずみまで読んでしっかり頭に入りますか?
旅行会社からは、「読んでおいてください」と言われるでしょうが、家に帰って最初から最後まで精読して理解に努める人は皆無に近いと思います。

しかし、実はこれに文句をつけないで契約を成立させてしまえば、自動的にこの約款を認めたことになってしまうのです。

脅かしの表現になりましたが、別に私たちに不利なものではないのでご安心を。
ただ旅行商品を購入したら、すべてこの約款に従った約束になってしまうので、消費者としてはポイントは押さえておく必要があります。
 

契約の成立


契約の成立は、「申込金を納めた」時となっています。
申込金というのは、たとえば代金全体の1〜2割程度の前金でもそれに当たるということです。

もちろんこの時点で、消費者側に代金の残額を旅行会社から指定された日までに支払わねばならないという義務が生じます。
 

キャンセル料


契約成立後のキャンセルは、海外旅行ではかなり早い段階から高額のキャンセル料が取られます。
旅行会社側でも、海外の航空便やホテルのキャンセルに動く必要があるからです。

一般のパッケージ旅行では、

  出発日の40日前以後のキャンセル : 代金の10%以内
  出発2日前以降のキャンセル : 代金の50%以内
  出発当日のキャンセル、または連絡なしの不参加 : 代金の100%以内

を取られることになります。

「以内」という表現はありますが、まず「以内」をはずした%の金額を取られるとみていいでしょう。

また、個別にオーダーメイド旅行を頼んだ場合は、出発日の30日前から代金の20%以内でキャンセル料が取られます。
 

違約金


申込金を納めた後、代金の残額を旅行会社の指定期日までに支払わなかった場合は、その翌日時点でキャンセル料に相当する金額を「違約金」として取られます。
そしてこの段階でこの契約は消滅します。

要するに、自動的に「顧客側で暗黙のキャンセルをした」ということにされるのです。

旅行は行くつもりだったのに、うっかり支払いを忘れたために、参加は取り消される、キャンセル料は取られるという最悪状態にならないように注意しましょう。

もちろん、違約金を払った上で同じツアーに再度申し込むことは自由です。
 

旅行者の交代


申込者が事情で旅行に参加ができなくなり、代わりの参加者に行かせたい場合があります。

この場合は、旅行会社の承諾を得て「手数料」を支払えば交代が可能です。
当初の申込者の権利や義務はすべて引き継ぎます。
当然、残金の支払いがされていなければ、新参加者のほうで支払う義務を負います。

なお、手数料はだいたい1人1万円程度のところが多いようです。
 

旅行会社によるツアーの中止


パッケージ旅行で「最少催行人員」に達せず、旅行会社がツアーを中止とする場合があります。
この場合は、主催した旅行会社側に責任が発生するわけで、

  年末年始・ゴールデンウィーク・夏休み中に出発日のあるツアー : 出発日の34日前まで
  上記以外 : 出発日の24日前まで

という日までに、旅行会社は申込者にツアーの中止を伝える義務があります。
もちろん、代金は全額返還されます。

しかしこの日を過ぎたら、たとえキャンセルがあって「最少催行人員」を割ったとしても旅行会社はツアーを実施する義務があります。

長期休み、新婚旅行など、顧客側の日程は動かせないことが多いでしょうから、確実に旅行ができるかどうかは、上記の日にちを目安においておくといいでしょう。

一方、スキーのためのツアーなのに現地に雪がない、あるいは現地に地震・台風・水害などの大災害が発生した、クーデターや暴動が起こったなど、出発前にツアーの実施が無意味・不可能な状況となった場合があります。

このような場合は、上記の日にちを過ぎてからでも、発生段階で旅行会社がツアーを中止できる権利があります。
もちろん代金は返還されます。

こんなケースは、顧客側もあきらめるしかありません。

さらに、旅行実施中に現地でこのような不可抗力的な事態が発生し、ツアー続行が困難になった場合も、途中中止にできる権利が旅行会社にはあります。

ただこの場合には、代金について中止された行程の交通費や宿泊費などは返還されますが、そこで発生するキャンセル料などは顧客の負担となります。
さらに中止となった地点から帰国するための旅費についても顧客の負担となります。

顧客にとっては踏んだり蹴ったりで、なんとも釈然としませんが、これが約款上の規定なので頭に入れておくほうがいいでしょう。
とにかくこんな事態が発生しないことを祈るしかありません。
 

旅行実施の円滑な遂行


パッケージ旅行では、面識のない人たちが同一行動します。
一行にはずっと添乗員が同行する場合もあれば、現地ガイドが案内する場合もあります。

しかし旅行会社にはその社員が同行していなくても、一行の状況を把握して旅行を安全に遂行する義務が課されています。
そのため、参加する旅行者自身にもその時々で旅行会社の指示に従う義務を負っています。

管理責任はすべて旅行会社にあるのだからと、自分勝手な行動をしたり、禁止事項に従わなかったりすることは許されません。
現地の人々に迷惑をかけますし、なにより同行の旅行者にも連帯責任の目が向けられてしまいます。

とにかく、日本人の評判を落とさないような、常識をわきまえた行動が求められます。
 

損害賠償の請求


旅行中に旅行会社の過失で損害を受けた場合は、損害賠償を求めることができます。

旅行会社の過失とは、たとえば現地で添乗員の誘導がまずくて事故に遭い負傷した、といった旅行会社側が負っている管理責任範囲の中で発生した損害をいいます。

食事がまずかった、土産物屋で買いたくもないものを買わされた、自由行動の日に町でサイフを盗まれた・・・など、旅行内容に対する感覚的な評価や、自己責任の範囲での過失や事故は対象になりません。

損害賠償請求は、身体の損害(けが、後遺症、死亡、精神的ショックなど)は発生から2年以内、手荷物の損害は21日以内に旅行会社に申し出なければなりません。

旅行会社側もその申し出を検討の上で、決められた賠償に応じる義務があります。

身体の損害については相応の賠償額になりますが、手荷物の場合は1人15万円が賠償額の限度となっています。


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