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イランの国旗 イラン各地(イランの観光地 2)

シラーズ

シラーズ (Shiraz) は、イスファハンの南350km、イラン南部のザグロス山脈にある都市で、標高約1480mの高原にあります。シーラーズとも表記されます。
人口は約100万人で、気候は温和、さまざまな産業が立地しています。
この地域は近郊のペルセポリスをはじめ、紀元前からアケメネス朝ペルシャの中心地で、古くから発展しました。
中世にはチムールやアフガニスタンの占領を許して盛衰しましたが、18世紀後半にはザンド朝の首都として再興しました。
19世紀のガージャール朝の成立とともに首都はテヘランに移されました。
1979年のイラン革命以後は、その直前の西欧的な町づくりが批判的に見られ、未完成で放置された建造物も散見されます。
バラの栽培が盛んで、5〜6月は市内の至るところで多く見ることができます。
また中世にサアディーとハーフェズというイランを代表する詩人を輩出した町でもあります。

シャー・チェラーグ廟 (Mausoleum Shah Cheragh)
市の中心部にある、9世紀に当地で殉教したイスラム教シーア派のイマーム(指導者)であったエマーム・レザーの弟、シャー・チェラグの墓です。
建物の中は19世紀に造られた美しい鏡細工のモザイクで飾られていて、万華鏡のなかにいるようだという感想も聞きます。
シーア派の聖地で、異教徒は入場できないことになっていますが、交渉次第で運が良ければ入れることもあるようです。(男女の入り口は別になっています。)
バザーレ・ヴァキール (Bazar-e Vakil)
シャー・チェラーグ廟近くにある市場です。
ヴァキール・モスクに隣接する建物の中にあり、食料品、香辛料、衣料、貴金属などさまざまな店が連なっています。
ナシール・アルムルク・モスク (Nasir al-Mulk Mosque)
シャー・チェラーグ廟の北0.7kmにあるモスクです。
ガージャール朝時代の1888年の創建で、ピンク色を主体にした色使いが特徴です。
また、ところどころに西欧の影響とみられる建築要素が取り入れられているのもユニークです。
ナレンジェスタン (Narenjestan, Qavam Garden)
シャー・チェラーグ廟の東0.5kmにある、19世紀ののシラーズの権力者の邸宅で、オレンジ・ガーデンとも呼ばれます。
鏡細工、寄木細工、油絵の装飾が有名です。
アリ・エブネ・ハムゼ廟 (Imamzadeh-ye Ali Ebn-e Hamze)
シャー・チェラーグ廟の北東1.5kmにあるエマーム・レザーのもうひとりの弟、アリー・エブネ・ハムゼの墓です。
19世紀の建立で、ねぎぼうずのような形のドームが特徴です。
この建物も内部は美しい鏡のモザイクで飾られています。
ハーフェズ廟 (Tomb of Hafez)
市内の北部にある、14世紀の神秘主義の詩人ハーフェズ (1325-1389) の墓です。
ハーフェズは「愛」をテーマとした抒情詩を多く残しており、後世のドイツの詩人・ゲーテもその影響を受けています。
花の美しいペルシア式庭園があり、大理石の棺には彼の詩が彫られています。
サアディー廟 (Tomb of Saadi)
市の中心部から北東に5km、ハーフェズ廟の東1.5kmにある 「果樹園」「薔薇園」などの詩集を作った13世紀の詩人サーディ (1184-1291) の墓です。
周辺は美しい公園のようになっていて、廟の壁は鳥や花の描かれた美しいタイルで装飾されています。
コーラン・ゲート (Qur'an Gate)
市の北3km、市街のはずれにある大門です。
シラーズの北の玄関口として10世紀ごろから建設され、上部の部屋に手書きの2つのコーランが保存されていたためにこの名がついています。
このコーランがこの門を通過する旅人に加護を与えたと信じられています。
コーランは1937年に博物館に移されて大切に保管されているということです。
エラム・ガーデン (Eram Garden)【世界遺産】
市の北西3kmにある、シラーズで最も有名なペルシャ庭園で、世界遺産に登録されています。
19世紀のガージャール朝時代に造られ、宮殿と美しい庭園があります。バラ園や糸杉の並木道もあります。
現在は隣接するシラーズ大学が管理しています。

ペルセポリス

ペルセポリス (Persepolis)【世界遺産】
シラーズの北東50kmにある、古代ペルシャの都市遺跡です。
紀元前520年頃、アケメネス朝のダリウス1世により帝国の中心都市として建設が始まり、およそ1世紀にわたって建設が続きました。
紀元前331年にアレキサンダー大王によって攻撃、破壊され、以後現在に至るまで廃墟になっています。
なおその際に、アレキサンダー大王はここから3000トンもの黄金を略奪したという記録があるそうです。
高さが10数メートル、南北約500メートル、東西約300メートルほどの人工基壇の上に「クセルクセス門」をはじめとして「アパダナ(謁見の間)」「百柱の間」「ダリウスの宮殿」「クセルクセスの宮殿」「宝物庫」 といった遺構があります。
また博物館もここに置かれ、さまざまな出土品が展示されています。
ナグシェ・ロスタム (Naqsh-e Rustam)
ペルセポリスの北6kmにある、アケメネス朝4代の王の墓です。
高さ150mの岩山の中腹を十字に貫いて墓が造られ、岩壁には11のレリーフが残っています。
パサルガダエ (Pasargadae)【世界遺産】
ペルセポリスの北東50kmにある、アケメネス朝の創始者キュロス大王の墳墓です。
キュロス大王は、紀元前546年に当地でペルシャ帝国最初の首都を建設しましたが、紀元前530年に死去。広大な都市遺跡の中の重要な遺構として大王の墳墓があります。
6段の階段状の基壇の上に、小さな小屋のような建物が建っています。

ヤズド

ヤズド (Yazd) は、イスファハンの東南東260km、イランのほぼ中央部にある人口50万人余の都市で、標高は1200m、砂漠地帯の真ん中にあるオアシス都市です。
古くからゾロアスター教の中心地で、イスラムが入ってきたときもゾロアスター信者たちはここに集まってイスラム化を阻みました。
しかし時代を経てイスラム化は進み、現在ゾロアスター教徒は人口の1割以下となっています。
また、砂漠の中にある地理的要因から、モンゴルなどの強大な勢力からの攻撃を免れてきました。
「カナート」と呼ばれる地下灌漑水路網を、世界最大の規模で持っているのもヤズドの特徴です。

ゾロアスター教寺院 (Ateshkade)
ヤズド市街の中心部にあるゾロアスター教の寺院です。
ペルセポリスの建築様式の寺院で、正面にシンボルの鳥の彫刻が飾られています。
前室には博物館があり、奥には紀元前470年から燃え続けているという聖火があります。
金曜日のモスク (Masjed-e Jame)
ゾロアスター教寺院の北東0.7kmにあるイスラム寺院です。
創建は12世紀で、14世紀ごろに改築されています。
2本の尖塔を持つミナレットが特徴で、高さ52mはイラン最大で、敷地にはカナートへの入り口もあります。
ダフメ(沈黙の塔) (Dakhmeh, Towers of Silence)
ヤズドの北西15km、砂漠の中にあるゾロアスター教の鳥葬場です。
丘の上に直径20mほどの低い塔があり、その上面がくぼんでいてそこに遺体を置いて、鳥に食べさせていたというものです。
塔は男性用と女性用の2つが少し離れて造られています。
20世紀の前半には使用禁止となり、現在は使われていません。

イラン各地

ソルタニエ (Soltaniyeh)【世界遺産】
テヘランの西北西250km、14世紀に造られたモンゴル系のイルハン朝の都市遺跡です。
中心的な遺構は最盛期の君子オルジェイトゥが建設した「オルジェイトゥ廟」(Dome of Soltaniyeh) で、1302〜1312年に建設、八角形のドームの上にさらに高さ49mの丸いドームが載る構造になっています。
外装は失われていますが、内部のモザイクや彩色陶器、壁画は残っています。
最寄りの町は、北西35kmのザンジャーン (Zanjan) です。
タフテ・ソレイマン (Takht-e Soleyman)【世界遺産】
テヘランの西北西400km、3〜7世紀のササン朝時代に造られたゾロアスター教の宗教施設の遺跡で、直径100m、水深100mほどの火口湖の周囲に遺構が残っています。
名前は古代イスラエルの王ソロモンから採られていて、彼が怪物を退治してこの火口湖に閉じ込めたという伝説があります。
ゾロアスター寺院遺跡の他、その他の時代の建物の遺跡も点在しています。
最寄りの町は、南30kmにあるタカブ (Takab) です。
ビストゥーンの碑文 (Behistun Inscription)【世界遺産】
テヘランの西南西400km、山の岩壁に彫られたレリーフと楔形文字の碑文で、紀元前6〜5世紀のアケメネス朝ペルシャの王・ダリウス1世が造ったとされています。
レリーフはゾロアスター教の神・アフラマズダを讃え、ダリウス王が反乱軍に勝利した場面が表現されています。
また楔形文字は、ダリウス王の即位の経緯や正当性が、後世に付け加えられたと考えられる3言語の記述とともに彫られています。
最寄りの町は、西30kmのケルマンシャー (Kermanshah) です。
カシャーン (Kashan)
テヘランの南200km、イスファハンへのほぼ中間点にある砂漠の中の小さなオアシスの町です。
古くからモスク用のタイルとじゅうたんの生産地として知られますが、旧市街は日干し煉瓦で作った民家が集まり、その風情は昔ながらのイランの雰囲気を味わえます。
近郊には、16〜17世紀のサファビー朝の王の離宮と美しい「フィン庭園」があります。
アブヤーネ (Abyaneh)
カシャーンの南南東50km、山岳地帯の中腹、標高2200mのところにある小さな村です。
赤土を使った家屋が集まっていて「赤い村」と呼ばれ、国家の家並み保存地区となっています。
かつてはゾロアスター教の村で、独特な民族衣装を着た村人を見ることができます。
チョガ・ザンビール (Chogha Zanbil)【世界遺産】
イスファハンの西300kmにある、紀元前13世紀ごろの古代エラム王朝の造ったジグラット(ピラミッド)の遺跡です。
当時はここに古代都市がありましたが、紀元前640年にアッシリアによって破壊されました。
1935年に油田調査の際に発見され、世界屈指の保存状態の良いジグラットとして世界遺産に登録されました。
大きさは105m四方で、当初は5段あったものが破壊によって3段まで残っています。
観光の拠点は、南80kmにある産油都市のアフワーズ (Ahvaz) です。
スーサ (Susa)
チョガ・ザンビールの北西35km、同時期のエラム王朝の行政の中心地だった地です。
アケメネス朝ペルシア時代の紀元前6世紀には「冬の都」とされました。
アバダナ宮殿を中心に発展しましたが、現在は広大な遺跡に礎石が点々と残るのみです。
1901年にここで、バビロニア時代(紀元前18世紀)の楔形文字で書かれた「ハムラビ法典」が出土しています。(実物はパリのルーブル美術館にあります。)


イランの観光地

イラン中西部の地図

シラーズ、シャー・チェラーグ廟の内部シャー・チェラーグ廟の内部
(Photo Iran 2007 108 Shah Cheragh Mosque Shiraz by David Holt London)

ハーフェズ廟ハーフェズ廟
(Photo Hafezieh by kamshots)

エラム・ガーデンエラム・ガーデン
(Photo Bagh-e Eram Palace by D-Stanley)

ペルセポリスペルセポリス
(Photo The Ruins of Persepolis, Iran by A.Davey)

パサルガダエパサルガダエ
(Photo IMG_0238 by ninara)

ヤズド、金曜日のモスクヤズド、金曜日のモスク
(Photo Jame Mosque in Yazd by D-Stanley)

沈黙の塔沈黙の塔
(Photo IMG_0221 by ninara)

タフテ・ソレイマンタフテ・ソレイマン
(Photo Iran 2007 048 Takht-e Soleyman by David Holt London)

ビストゥーンの碑文ビストゥーンの碑文
(Photo 6403. Bas Relief Carving by Ensie & Matthias)

アブヤーネの村アブヤーネの村
(Photo 2216.Street by Ensie & Matthias)

チョガ・ザンビールチョガ・ザンビール
(Photo Ziggurat - Choqa Zanbil - Southwestern Iran - 02 by Adam Jones, Ph.D. - Global Photo Archive)

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